2026年7月期 決算サマリー
サマリー
比較サイトやD2C、ゲームアプリを手がけるエイチームホールディングス(連結)の2026年7月期は、売上高が前期比3.8%減の229億97百万円、営業利益は暗号資産価格の下落に伴う販売促進引当金の戻入で29.6%増の10億95百万円だった。 一方、暗号資産評価損5億99百万円を営業外費用に計上したため、経常利益は63.2%減の5億84百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は65.3%減の3億59百万円となった。年間配当は28円(前期22円)で配当性向は144.6%。2027年7月期は営業利益6億円(△45.2%)を予想する。
売上高
22,997百万円
△3.8%調整後EBITDA
1,100百万円
△36.0%EBITDA
1,506百万円
+18.3%営業利益
1,095百万円
+29.6%経常利益
584百万円
△63.2%親会社株主に帰属する当期純利益
359百万円
△65.3%D2Cの売上高
2,946百万円
+31.0%年間配当
28円
前期22円ハイライト
- 売上高は229億97百万円(△3.8%)。会社は、M&Aで取得した企業の売上高が加わったものの、2025年8月1日に株式会社エイチームフィナジーの全株式を譲渡して連結から外れたこと、金融メディア・人材メディアで利益確保を優先して広告宣伝費を抑制したこと、ゲームアプリ全体の減収傾向を挙げる。調整後EBITDAは11億00百万円(△36.0%)で、会社は一部事業の減収、株主優待の対象株主数の増加等による株主優待関連費用、中期経営計画の推進に伴う共通費の増加を要因とする。EBITDAは15億06百万円(+18.3%)で、調整後EBITDAはM&A関連費用や暗号資産関連の販売促進費用等を調整した指標(定義は短信に記載)
- 営業利益は10億95百万円(+29.6%)で、会社は暗号資産価格の下落に伴う販売促進引当金の戻入を挙げる(販売促進引当金は983百万円から556百万円に△426百万円)。一方、営業外費用に暗号資産評価損599百万円を計上し(前期は営業外収益に評価益610百万円)、経常利益は5億84百万円(△63.2%)。暗号資産の時価変動が、営業利益(引当金)と経常利益(評価損益)で逆方向に出ている。特別利益は2億20百万円(関係会社株式売却益153百万円、投資有価証券売却益67百万円)、前期は特別利益517百万円(事業譲渡益304百万円、投資有価証券売却益212百万円)と特別損失227百万円(減損損失)。税金等調整前当期純利益は8億04百万円(前期18億75百万円)、法人税等は4億09百万円(負担率約50.9%、当社試算)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億59百万円(△65.3%)、1株当たり19.36円(前期55.75円)、ROE4.1%(同10.8%)
- メディア・ソリューションは売上高161億92百万円(△7.3%)、セグメント利益17億45百万円(+31.5%)。金融メディア・人材メディアで広告宣伝費を抑制して減収、一部既存メディアは集客競争の激化で広告宣伝費が増えて減益となったが、暗号資産価格の下落に伴う販売促進引当金の戻入で増益。2025年11月20日に株式会社シグニティ(プッシュ通知サービス「PUSH ONE」、スマホロック画面広告)の全株式を取得した
- D2Cは売上高29億46百万円(+31.0%)、セグメント利益1億86百万円(前期7百万円)で、化粧品ブランド「lujo」の継続利用者数の増加と運営効率化が要因。エンターテインメントは売上高38億58百万円(△8.1%)、セグメント利益3億09百万円(△40.3%)で、ゲームアプリ全体の減収傾向が続くが、既存タイトルの効率的な運用とコスト抑制で黒字を維持。今後はグローバルで人気のIPとの協業案件を主体としたポートフォリオへの入れ替えを進める。報告セグメント利益の合計は22億41百万円(前期18億53百万円)、全社費用等の調整額は△11億46百万円(前期△10億08百万円)
- M&Aの面では、シグニティの取得原価は現金1,050百万円で、のれん776百万円(9年均等償却)と顧客関連資産321百万円(9年償却)を計上し、取得関連費用は52百万円。連結期間は2025年12月1日から2026年7月31日。フィナジー(「ナビナビ保険」)は集客競争の激化で集客コストが高騰し、大幅な追加投資が必要になるため事業ポートフォリオの適正化として譲渡し、譲渡益は153百万円。のれん1,834百万円と顧客関連資産510百万円の合計は約23億44百万円で、純資産の約26%(当社試算)。会社は、買収時の計画から著しい乖離が生じた場合はのれんの減損の可能性があるとリスクに記載している
- 財政状態は、総資産148億41百万円(前期末比△3億67百万円)、純資産89億22百万円(同△2億47百万円)、自己資本比率58.5%(前期末59.3%)。現金及び預金は50億38百万円(同△12億62百万円)、暗号資産は7億50百万円(同△4億86百万円、ビットコイン676百万円など)、のれんは+5億33百万円、顧客関連資産は+2億61百万円。負債は59億19百万円(同△1億20百万円)で、長期借入金が+8億30百万円(8億53百万円)、未払法人税等が△4億57百万円、販売促進引当金が△4億26百万円。純資産は利益剰余金が△3億30百万円(純利益+359百万円、配当△668百万円、連結範囲の変動△21百万円)、新株予約権が+61百万円
- キャッシュ・フローは、営業活動が4億67百万円の支出(前期16億24百万円の収入)で、税引前利益8億04百万円に対し、法人税等の支払い△9億77百万円(前期△6億69百万円)、販売促進引当金の減少△4億26百万円などが響いた。投資活動は11億13百万円の支出で、連結範囲の変更を伴う株式の取得(シグニティ)△10億13百万円、投資有価証券の取得△3億17百万円、フィナジー株式の売却収入+1億10百万円。財務活動は2億54百万円の収入で、長期借入れ+10億円、配当△6億66百万円。現金及び現金同等物は50億38百万円(期首63億01百万円)
- 【要確認】配当は、中間14円・期末14円の年28円(前期22円)で、配当総額522百万円は純利益を上回り、配当性向144.6%(前期39.5%)。2027年7月期も年28円を予想し、配当性向は173.5%。会社は中期経営計画(FY2025-FY2028)の総還元性向平均100%の達成に向け、累進配当を維持するとする。2027年7月期予想は、売上高24,000百万円(+4.4%)、調整後EBITDA1,200百万円(+9.1%)、EBITDA1,100百万円(△27.0%)、営業利益600百万円(△45.2%)、経常利益600百万円(+2.7%)、純利益300百万円(△16.6%)、1株当たり16.14円。営業利益が半減近い減益となる要因(前期の引当金戻入の反動を含むか)は短信に記載がない
財政状態
総資産
14,841百万円
純資産
8,922百万円
自己資本比率
58.5%
現金及び現金同等物
5,038百万円
次期業績予想
| 決算期 | 売上高 | 調整後EBITDA | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2027年7月期 通期予想 | 24,000百万円+4.4% | 1,200百万円+9.1% | 600百万円△45.2% | 600百万円+2.7% | 300百万円△16.6% |
注目ポイント
この決算は「営業利益は増益、経常利益・純利益は大幅減益」というねじれた形になっている。原因は暗号資産で、価格の下落が、営業利益では販売促進引当金の戻入(増益要因)、営業外では評価損5億99百万円(減益要因)として出ている。前期は逆に評価益6億10百万円が営業外にあったため、前年との比較は暗号資産の時価に左右される。会社が調整後EBITDAを併記するのはこのためで、その調整後EBITDAは△36.0%と、本業の稼ぐ力は弱まっている。
減収の背景は、フィナジーの連結除外に加え、金融メディア・人材メディアで広告宣伝費を絞って利益を確保する運営方針、ゲームアプリの減収である。D2C(+31.0%)は伸びており、シグニティの取得でメディア・ソリューションの商材も広がったが、のれんと顧客関連資産が純資産の約26%を占める点は、減損リスクとして意識される。
配当は28円へ増えたが、純利益を上回る水準で、2027年7月期の予想では配当性向173.5%になる。現金及び預金は約13億円減って50億円台となり、借入10億円を実行した。営業利益600百万円(△45.2%)の予想の前提は短信に書かれておらず、暗号資産の時価変動の見方も含めて、次の四半期以降の開示で確認したい。