決算ノート
4599東証再生誘導医薬(創薬バイオ)

2026年7月期 決算サマリー

サマリー

体内の間葉系幹細胞を集める「再生誘導医薬」レダセムチドを開発するステムリム(非連結)の2026年7月期は、事業収益がなく(前期もなし)、研究開発費15億円、販管費5億円を計上して営業損失19億98百万円(前期19億71百万円)、 当期純損失18億51百万円(同19億29百万円)となった。定期預金の預入で現金及び現金同等物は69.9億円から21.8億円に減ったが、定期預金を含む現金及び預金は53.8億円あり、 会社は2028年までの研究開発資金を確保しているとする。2027年7月期の業績予想は、マイルストーン収入の時期を予想できないため非開示とし、現金支出の見込み(研究開発13〜17億円、一般管理費2.3〜3.1億円)のみを示した。

事業収益

なし

前期もなし

営業損失赤字

△1,998百万円

前期は△1,971百万円(損失拡大)

経常損失赤字

△1,879百万円

前期は△1,970百万円(損失縮小)

当期純損失赤字

△1,851百万円

前期は△1,929百万円(損失縮小)

研究開発費

1,499百万円

前期比+7.5%(費用の増加)

ハイライト

  • 収益がない研究開発型企業で、費用は研究開発費1,499百万円(前期比+7.5%、給与・寄附金・外注費の増加)と販売費及び一般管理費499百万円(同△13.4%、役員・管理部門への株式報酬費用の減少)の計1,999百万円(同+1.4%)。営業外収益は補助金収入72百万円、受取利息43百万円(前期0.02百万円、定期預金の増加による)、受取配当金4百万円で計119百万円(前期1百万円)となり、経常損失は1,879百万円に縮小。特別利益は従業員の退職に伴う新株予約権戻入益30百万円。1株当たり当期純損失は29.63円(前期31.16円)
  • レダセムチド(TRIM2)は、栄養障害型表皮水疱症(塩野義製薬が開発主体)で追加第Ⅱ相臨床試験の最終症例の登録を2025年7月に完了、52週での難治性潰瘍の閉鎖を評価し、結果を踏まえて承認申請を行う予定。患者数が全国400名前後の希少疾患で大規模な第Ⅲ相試験の実施が難しいためで、2023年5月に希少疾病用医薬品に指定されている。急性期脳梗塞(塩野義製薬、グローバル後期第Ⅱ相)は2025年12月に最終症例の登録が完了し、2025年4月の中間解析では高用量群は継続、低用量群は中止の勧告を受けたが、会社は当初想定の範囲内と説明。結果の開示時期は短信にない(【要確認】)
  • そのほか、虚血性心筋症(大阪大学、医師主導第Ⅱ相、各10例)は2026年4月に最終症例の登録が完了し52週後の心機能で評価する予定。変形性膝関節症(弘前大学)と慢性肝疾患(新潟大学)の医師主導第Ⅱ相は終了済みで、今後の開発方針を検討中。次世代候補のTRIM3、TRIM4は全身投与型で、国内外の複数企業と導出(ライセンスアウト)に向けた活動を続けており、TRIM5(局所投与型)はモデル疾患動物データを拡充中。表皮水疱症の幹細胞遺伝子治療SR-GT1は大阪大学との共同研究でAMED助成金に採択され、国内第1/2相試験を準備中
  • 財政状態は、総資産5,909百万円(前期末比△1,609百万円)、純資産5,713百万円、自己資本比率70.4%(前期末78.0%)。現金及び預金は6,994百万円から5,377百万円(△1,618百万円)に減少。純資産は、当期純損失1,851百万円で減った一方、新株予約権が99百万円増え、役員の譲渡制限付株式で資本金・資本準備金が各76百万円増加した(2026年7月30日に資本金を75.8百万円減資して資本準備金へ振替、資本金は10百万円)。新株予約権は31種類・普通株式6,068,000株分(発行済株式数の約9.7%、当社試算)が未行使
  • 営業CFは1,610百万円の支出(前期1,415百万円)。投資CFは定期預金の預入10,310百万円と払戻7,110百万円の差引3,200百万円などで3,208百万円の支出(前期42百万円)。財務CFはなし(前期41百万円の収入)。この結果、現金及び現金同等物は2,177百万円(前期末6,995百万円)に減ったが、定期預金の預入(純増3,200百万円)を含む現金及び預金は5,377百万円あり、資金が事業で使い切られたわけではない。研究用機器は取得時に研究開発費として費用処理している
  • 【要確認】2027年7月期の業績予想は、事業収益の大半が提携先の開発進捗に応じたマイルストーン収入で、受領時期を予想できないため記載なし。代わりに現金収支の見込みとして、研究開発の現金支出1,300〜1,700百万円、一般管理費の現金支出230〜310百万円を示し、新規提携に伴う一時金や既存提携先からのマイルストーン収入・一時金が発生する可能性があるとした。手元の現金及び預金5,377百万円は年間支出見込み(計1,530〜2,010百万円)の約2.7〜3.5年分(当社試算)で、会社は2028年までの研究開発資金を確保しているとする。次のカギは、導出契約や塩野義製薬からのマイルストーン収入の有無
  • 【重要な後発事象】2026年9月9日の取締役会で、ストック・オプションとして第19回新株予約権(従業員47名、4,989個・498,900株)と第20回新株予約権(取締役4名、3,000個・300,000株)の発行を決議し、9月10日に発行(金銭の払込みは不要)。合計798,900株は発行済株式数(62,681,200株)の約1.3%(当社試算)。行使価格は割当日の終値の1.025倍、行使期間は2028年9月11日〜2036年9月9日。無配(来期予想も無配)。決算補足説明資料は「有」、機関投資家・アナリスト向け説明会を開催。定時株主総会は2026年10月28日

財政状態

総資産

5,909百万円

純資産

5,713百万円

自己資本比率

70.4%

現金及び預金

5,377百万円

次期業績予想

決算期業績予想研究開発の現金支出一般管理費の現金支出
2027年7月期(業績予想は非開示・現金収支の見込み)非開示(マイルストーン収入の時期を予想できないため)1,300〜1,700百万円230〜310百万円

注目ポイント

収益のない創薬企業で、費用はほぼ研究開発費と株式報酬を含む一般管理費であり、毎期約20億円の営業損失が続く構造である。今期の損失は縮小したが、これは受取利息や補助金による営業外収益が増えたためで、営業損失自体は前期より小さくなっていない。この会社の決算は、損益よりも「資金がいつまで持つか」と「臨床試験・導出の進捗」を見ることになる。

資金面では、現金及び預金が53.8億円で、会社が示す来期の年間支出(15〜20億円)の約3年分に相当する。CF計算書の現金同等物が大きく減っているのは定期預金への振り替えによるもので、実際の資金は減っていない点に注意が必要である。一方、新株予約権の未行使分が発行済株式数の約1割あり、後発事象でも約80万株の新規発行が決まっており、希薄化は続く。

材料は、塩野義製薬が進める表皮水疱症(追加第Ⅱ相・承認申請へ)と急性期脳梗塞(グローバル後期第Ⅱ相)の結果、および次世代のTRIM3・TRIM4の導出契約である。いずれもマイルストーン収入や一時金の発生時期が読めないため、会社は来期の業績予想を出していない。開示される試験結果と導出の有無が、今後の焦点になる。

出典:株式会社ステムリム「2026年7月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」(2026年9月9日開示)

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