2026年7月期 決算サマリー
サマリー
不動産投資ポータルサイト「楽待」を運営する楽待の2026年7月期は、会員数・物件掲載数の増加を背景に営業収益が前期比14.5%増の 36億17百万円となり、営業利益は同23.0%増の18億99百万円(営業利益率52.5%)と高収益を維持した。経常利益・当期純利益も 20%超の増益で、期初予想を全ての利益段階で上回って着地した。年間配当は前期の10円から13円へ増配、来期は16円を予想し6期連続の 増配となる。約14億円の自己株式取得も実施した。YouTube登録者数は166万人(前期比+34.5%)に拡大し、タイアップ動画広告が新たな柱に育っている。
営業収益
3,617百万円
+14.5%営業利益
1,899百万円
+23.0%経常利益
2,132百万円
+21.9%当期純利益
1,436百万円
+22.7%ハイライト
- 【説明資料】期初の業績予想に対する達成率は営業収益103.4%、営業利益105.5%、経常利益106.6%、当期純利益109.8%と全段階で超過達成。経常利益は上場以降、当初予想を公表した全9期で予想を上回り、直近5期の平均上振れ率は+6.9%。営業利益率は52.5%(前期48.9%)、ROEは27.4%と高水準
- 【説明資料】サービス別では、主力の物件掲載サービスが売上1,803百万円(前期比+10.3%)、加盟店数5,921店(同+12.6%、宅建業者約13万社に対し約22倍の成長余地)、提案サービスが同+23.9%と、ストック型収益が堅調。広告掲載サービス全体は同+12.7%。会員数は507千人(同+10.0%、不動産所得の申告者約320万人に対し約6.4倍の余地)、物件掲載数は84千件(同+8.7%)
- 【説明資料・要確認】第4四半期(5〜7月)は増益率が鈍化し、営業利益率は46%(前年同期52%)に低下。2027年7月期に公開するタイアップ動画の制作費と増員による人件費が要因で、会社は「来期の売上につながる先行費用」と説明。4Q売上は前年同期比+14.6%
- 【説明資料】YouTube「楽待 RAKUMACHI」の登録者数は166万人(前期比+34.5%、8月末で171万人)、総再生回数は13億回超。企業PRができるタイアップ動画広告は2026年7月期に28本(前期比2.3倍)を公開し、平均再生回数は約28万回(通常動画の約1.6倍)。2027年7月期も8月単月で9本(前年同月2本)と拡大が続き、東京都環境局、広島ガス、ライフネット生命、LIXIL、フリーなど異業種に販路が広がる
- 【株主還元】年間配当は前期の10円から13円(中間6.5円・期末6.5円)に増配し、来期は16円(中間8円・期末8円)を予想し6期連続の増配。配当性向は17.7%(来期予想19.9%)。あわせて約14億円(1,450百万円)の自己株式を取得し、1,401百万円分を消却(発行済株式数は21,153,800株→19,753,800株)。取得は2025年9〜10月に50万株(7.0億円)、2026年3〜4月に25万株(2.3億円)、同年5〜7月に47.8万株(4.9億円)の3回で、会社は今後も必要に応じて実施するとしている
- 経常利益が営業利益を2億円超上回るのは、有価証券利息(233百万円)が営業外収益の大半を占めるため。総資産60億円のうち投資有価証券が約43億円と約7割を占める。【説明資料】保有するドル建て社債は9銘柄・約40億円(平均取得レート150.14円/ドル、平均クーポン約5.5%、すべてBBB格以上)で、その他有価証券として時価評価するため、為替・時価変動は損益計算書に影響しない(純資産に計上)
- 設備投資により有形固定資産が約2億7千万円増加(建物の増加が中心)、資産除去債務59百万円を新たに計上。現金及び預金は自己株式取得等で約4億4千万円減少し、営業キャッシュ・フローは14億54百万円の黒字
- 来期(2027年7月期)は増収増益予想ながら伸びは鈍化(営業利益+10.6%、当期純利益+5.8%)。物件掲載・広告掲載サービスの増収(タイアップ動画の異業種展開)を見込む一方、採用による人件費増と「楽待プレミアム」のコンテンツ制作費、AI関連投資を費用に織り込む。会社は例年、ストック型収益(収益の約7割)の成長を基礎に「堅実な水準」で予想を立てると説明。【説明資料】AI賃料シミュレーション(2026年8月)、販売図面の自動読み取り機能(ベータ版、9月14日開始)、金融投資セミナーの掲載開始(証券会社など異業種へ拡大)、熊本地震の被災加盟店へのサービス3か月無償提供といったトピックも紹介
財政状態
総資産
6,074百万円
純資産
5,196百万円
自己資本比率
85.5%
次期業績予想
| 決算期 | 営業収益 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2027年7月期 通期予想 | 4,000百万円+10.6% | 2,100百万円+10.6% | 2,324百万円+9.0% | 1,520百万円+5.8% |
注目ポイント
営業利益率が5割を超えるプラットフォーム型ビジネスとして、増収増益・増配・自社株買いと株主還元色の強い決算である。特に自己株式の取得(約14億円)は当期純利益(約14億円)とほぼ同規模で、配当(約2億円)と合わせると、稼いだ利益以上を株主に還元する構図になっている。
また、成長の新しいエンジンとしてYouTubeが存在感を増している。登録者166万人の自社チャンネルを使ったタイアップ動画広告が、不動産会社以外の企業にも広がり、会員獲得や認知度向上にも寄与している。第4四半期に営業利益率が46%へ下がったのは、この動画の制作費と増員が先行したためで、来期の売上で回収できるかが焦点である。
一方で、来期は営業利益・純利益の伸びが10%以下に鈍化する予想で、採用強化とコンテンツ制作費の増加を先行投資として織り込んでいる。ただし会社の予想は例年保守的で、経常利益は上場以来9期連続で予想を上回っており、今回も期初予想に対し+6.6%上振れした点は参考になる。また経常利益には保有する有価証券の利息が2億円強寄与しており、本業の営業利益とは別の収益源であることも押さえておきたい。会員数・掲載物件数の伸びが続くかが、来期の成長率を左右する。