2026年7月期 決算サマリー
サマリー
福島第一原子力発電所の廃炉関連工事を主力とするビーエイブルの2026年7月期(非連結)は、廃炉関連の受注・工事進捗が堅調で、売上高が前期比10.3%増の99億08百万円、営業利益が同50.4%増の10億09百万円、当期純利益が同54.6%増の7億35百万円と増収増益。2026年7月29日に東証スタンダード市場へ上場し、公募による自己株式の処分で約17億円を調達した。年間配当は20円(前期は無配)で、2027年7月期は売上高+19.6%、営業利益+40.5%を見込み、9月28日の決算説明会資料では再生可能エネルギー事業の黒字化を前提とした。
売上高
9,908百万円
+10.3%営業利益
1,009百万円
+50.4%経常利益
1,022百万円
+55.6%当期純利益
735百万円
+54.6%売上高営業利益率
10.2%
+2.7ptハイライト
- 工事事業は売上高8,619百万円(前期比+9.8%)、セグメント利益1,601百万円(同+40.0%、利益率18.6%)。福島第一の廃炉関連工事に加え、廃炉に伴う廃棄物処理関連の大型工事を連続して受注。島根原子力発電所2号機の再稼働後初の定期検査に係る点検・保守工事、福島第一の処理水タンク補修工事(初受注)、自社開発ロボットによる高線量環境の線量調査なども寄与
- 再生可能エネルギー事業は売上高998百万円(同+7.3%)と風力発電関連メンテナンスで増収だが、当期から始めた電力小売事業の立ち上げ費用が先行し、セグメント損失は14百万円(前期は1百万円の利益)。来期は、いわき市との連携協定のもと特定卸供給制度を使ったバイオマス発電の電力供給を拡大し、早期黒字化を目指す
- 2027年7月期のセグメント別予想は、工事事業が売上高10,049百万円(+16.6%)・営業利益1,864百万円(+16.4%)、再生可能エネルギー事業が売上高1,438百万円(+44.1%)・営業利益162百万円(前期は14百万円の損失)、その他事業が売上高362百万円・営業利益2百万円。工事事業では島根・志賀・東海第二の再稼働に向けた安全向上工事や柏崎6号機の定期検査、佐野バイオマス発電所の建設工事などを前提としている
- 決算説明会資料によると、7月29日公表の計画に対する達成率は、売上高+1.3%(計画9,783百万円)、営業利益-10.8%(同1,131百万円)、経常利益-7.9%(同1,110百万円)、当期純利益+0.8%(同729百万円)。営業利益は計画に届かなかった。営業外収益106百万円(受取保険金30百万円など)、営業外費用94百万円(上場関連費用22百万円など)
- 2026年7月29日に東証スタンダード市場へ上場。公募による自己株式の処分で1,741百万円を調達し、資本剰余金が1,334百万円増加、自己株式が407百万円減少。上場後の2026年8月31日にはオーバーアロットメントに伴う第三者割当(491,600株、1株644円、316百万円)の払込が完了し、使途はbeABLE研究開発センター・富津工場の設備投資、借入金の返済
- 投資が急拡大。有形固定資産の取得に1,869百万円、関係会社出資金の払込に457百万円(佐野バイオマス発電所の建設に向けた合同会社への出資)を支出し、建設仮勘定は1,467百万円(beABLE研究開発センターなど)。長期借入金は2,539百万円(前期末比+1,118百万円)。営業CFは946百万円の収入、投資CFは△2,511百万円、財務CFは+2,246百万円。設備投資は1,459百万円(期初計画1,211百万円)、研究開発費は178百万円(同253百万円)。2027年7月期は設備投資1,289百万円(beABLE研究開発センター建設、蓄電池関連など)、研究開発費237百万円を計画
- 自己資本比率は62.3%(前期末53.2%)、現金及び預金は1,879百万円(同+682百万円)。契約資産は2,643百万円(同+237百万円)と総資産の約2割。短期借入金は600百万円を全額返済
- 年間配当は期末20円(前期は無配)で配当性向20.4%、2027年7月期の予想も20円(配当性向21.7%)。2026年3月4日付で1株を5株に分割している。潜在株式(新株予約権)は約64万株あるが、希薄化効果を有しないとして潜在株式調整後EPSは算定していない。決算説明会資料では、1株当たり配当20円を下限とする方針を示した
財政状態
総資産
12,156百万円
純資産
7,575百万円
自己資本比率
62.3%
1株当たり当期純利益
97.99円
次期業績予想
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2027年7月期 通期予想 | 11,849百万円+19.6% | 1,418百万円+40.5% | 1,388百万円+35.8% | 956百万円+30.0% |
注目ポイント
福島第一原発の廃炉という長期・大型の国策事業に軸足を置き、工事事業の利益率が18.6%と高いことが増益の源泉。廃棄物処理関連の大型工事を連続で受注しており、原子力分野の再稼働の広がりも追い風になる。一方で、売上・利益とも工事事業への依存が大きく、再生可能エネルギーとその他事業は赤字が続いている点は押さえておきたい。
上場で得た資金は、beABLE研究開発センター、富津工場、佐野バイオマス発電所への出資といった将来の投資に向かう。投資CFの流出(約25億円)は営業CF(約9億円)を大きく上回り、長期借入金も増えたため、投資が売上・利益に結びつく時期が焦点となる。来期予想は営業利益+40.5%と強気で、電力小売の黒字化や新規大型工事の獲得が前提と考えられるが、詳細な前提は短信に記載がない。
9月28日の決算説明会資料では、来期の増益の内訳が示された。工事事業の増益(+2億63百万円)に加え、再生可能エネルギー事業の黒字化(+1億76百万円)とその他事業の損益改善(+98百万円)を見込んでおり(当社試算)、赤字事業の立て直しが予想達成のカギになる。なお、当期の営業利益は上場時の計画を約1割下回っており、計画の精度にも注意したい。