2026年7月期 決算サマリー
サマリー
クルーズ旅行の販売を手がけるベストワンドットコムの2026年7月期は、2026年ゴールデンウィーク発のチャータークルーズの販売が計画を大きく上回り、 売上高が前期比14.3%増の29億6百万円、営業利益が3億36百万円(前期は29百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益が2億33百万円(前期は9百万円)と急回復し、営業・経常利益は過去最高となった。 第3四半期累計までは損失が先行しており、第4四半期に大きく好転した。一方、2027年7月期の予想は、規模を抑えたチャータークルーズを前提に、営業利益81〜161百万円(前期比△75.9%〜△52.2%)と幅を持たせた大幅減益で、 当期は特に好調な要因があったことがうかがえる。
売上高
2,906百万円
+14.3%営業利益
336百万円
+1,053.1%(前期29百万円)経常利益
345百万円
+1,139.7%(前期27百万円)親会社株主に帰属する当期純利益
233百万円
+2,356.5%(前期9百万円)売上高営業利益率
11.6%
+10.4pt(前期1.2%)自己資本当期純利益率
18.9%
前期0.8%ハイライト
- 会社は、世界のクルーズ人口が2029年に4,210万人に達する見通し(CLIA)、日本人のクルーズ人口が2025年の約24.3万人から2030年に約100万人へ拡大する見込みと、市場は中長期的な成長局面にあるとしている。「クルーズをもっと身近に」の方針で、Webマーケティングを軸にした集客力の強化と、付加価値の高いチャータークルーズ・テーマ性のある企画クルーズの拡充に取り組んだ
- 2026年ゴールデンウィーク発のチャータークルーズなど先付け案件の獲得に向けて広告宣伝に先行投資し、販管費は499百万円(前期478百万円、+4.4%)に増えたが、チャータークルーズの販売が計画を大きく上回り、売上総利益が836百万円(前期507百万円)に増加。売上総利益率は28.7%(前期19.9%、当社試算)に上昇した。第3四半期連結累計期間まで損失が先行していた業績は、第4四半期にかけて大きく好転した
- セグメント別は、旅行業が売上高2,875百万円(前期比+14.8%)、セグメント利益324百万円(同+1,760.2%)。その他事業(子会社えびす旅館)は、インバウンド需要が続き客室平均単価・稼働率が想定通りで、売上高32百万円(同△19.6%)、利益13百万円(同+9.3%)。営業外では為替差益29百万円(前期13百万円)、受取利息6百万円、支払利息23百万円(同15百万円)を計上し、経常利益は営業利益を9百万円上回る345百万円
- 特別損失として減損損失7.6百万円と投資有価証券評価損2.5百万円、特別利益として投資有価証券売却益2.8百万円を計上。税金等調整前当期純利益は338百万円、法人税等は104百万円(負担率約31%)で、当期純利益は233百万円。1株当たり当期純利益は154.77円(前期6.31円)、潜在株式調整後153.72円
- 財政状態は、総資産3,921百万円(前期末比△91百万円)、純資産1,348百万円、自己資本比率34.2%(前期末28.4%)。現金及び預金は2,189百万円(同△314百万円)に減少。旅行前払金が773百万円(同+98百万円)に増え、投資有価証券が443百万円(同+246百万円)に増加した。借入金は、長期借入金1,275百万円と1年内返済予定分448百万円の計約1,724百万円(前期末約2,119百万円、当社試算)に減少
- 営業CFは275百万円の収入(前期は187百万円の支出)で、税金等調整前当期純利益338百万円と、旅行前払金の増加△98百万円が主因。投資CFは投資有価証券の取得271百万円、有形固定資産の取得29百万円、無形固定資産の取得23百万円などで311百万円の支出。財務CFは長期借入金の返済496百万円と借入れ100百万円、配当金27百万円などで422百万円の支出(前期は1,116百万円の収入)。現金及び現金同等物は2,195百万円(前期末2,625百万円)
- 配当は期末30円(前期18円)、配当金総額45百万円、配当性向19.4%(前期285.3%)。2027年7月期の配当予想は21円。定時株主総会は2026年10月28日、配当支払開始予定日は10月29日。決算補足説明資料は「有」、決算説明会も「有」だが、いずれも今回未添付
- 【要確認】2027年7月期の予想は、売上高2,555〜3,227百万円(前期比△12.1%〜+11.0%)、営業利益81〜161百万円(同△75.9%〜△52.2%)、経常利益76〜156百万円(同△78.0%〜△54.9%)、純利益49〜103百万円(同△79.0%〜△56.0%)、1株当たり純利益32.43〜68.17円と、幅を持たせた開示。会社は、日本発着外国船を中心としたクルーズ商品の販売強化と規模を抑えたチャータークルーズの実施で着実な収益確保を図るとするが、中東情勢をはじめとする地政学リスクや為替変動でクルーズ需要が左右されるため、正確な予想が困難としている。需要が堅調なら上限、外部環境悪化で需要が減退すれば下限もありうるという。上限でも当期の営業利益を大きく下回り、当期のチャータークルーズ販売が例外的に好調だったことがうかがえる
財政状態
総資産
3,921百万円
純資産
1,348百万円
自己資本比率
34.2%
現金及び預金
2,189百万円
次期業績予想
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2027年7月期 通期予想(レンジで開示) | 2,555〜3,227百万円△12.1%〜+11.0% | 81〜161百万円△75.9%〜△52.2% | 76〜156百万円△78.0%〜△54.9% | 49〜103百万円△79.0%〜△56.0% |
注目ポイント
前期に利益がほぼ消えていた(営業利益29百万円)状態から、営業利益3億円台へ急回復した決算で、営業・経常利益は過去最高となった。原動力は、2026年ゴールデンウィーク発のチャータークルーズの販売が計画を大きく上回ったことで、広告宣伝への先行投資(販管費+4.4%)を回収して余りある粗利の増加につながった。第3四半期までは損失が先行していたと会社が説明しており、利益の大半が第4四半期に集中している。
ただし、この好調は繰り返せるかが不透明である。2027年7月期の予想は、営業利益81〜161百万円と、当期の約2分の1〜4分の1に幅を持たせて開示しており、規模を抑えたチャータークルーズを前提に、上限でも当期を大きく下回る。会社自身が中東情勢や為替でクルーズ需要が左右されると説明しているように、チャーター案件の成否で収益が振れやすい事業構造といえる。
財務は、借入の返済が進み自己資本比率が約34%に改善した。配当は30円へ大きく増やしたが、来期予想は21円に下がる。チャータークルーズの販売状況と、来期予想のレンジのどこに着地するかを、四半期ごとに確認したい。