2027年1月期 中間期 決算サマリー
サマリー
リチウムイオン電池用セパレータとイオン交換膜を手がけるダブル・スコープの2027年1月期中間期は、両事業の売上増で売上高が前年同期比32.9%増の19億28百万円となり、 営業損失は13億88百万円(前年同期は28億68百万円の損失)と縮小した。ただし、売上総利益はなお9億93百万円の損失で、韓国の関連会社W-SCOPE CHUNGJU PLANT(WCP)の持分法投資損失16億94百万円が響き、 親会社株主に帰属する中間純損失は31億4百万円(前年同期は54億29百万円の損失)。継続企業の前提に関する重要事象等が存在する(重要な不確実性は認められないと会社は判断)。通期は売上高60億円(+65.2%)、営業損失24億円を見込む。
売上高
1,928百万円
+32.9%営業損失赤字
△1,388百万円
前年同期は△2,868百万円(損失縮小)経常損失赤字
△3,091百万円
前年同期は△5,412百万円(損失縮小)親会社株主に帰属する中間純損失赤字
△3,104百万円
前年同期は△5,429百万円(損失縮小)売上総損失赤字
△993百万円
前年同期は△2,400百万円(損失縮小)ハイライト
- 事業別の売上高は、セパレータ事業が1,131百万円(前年同期比+33.5%)、イオン交換膜事業が796百万円(同+32.1%)。欧州のEV需要は顕著な回復がなくリチウムイオン電池の需要は総じて低調で、セパレータ販売は低調に推移した。関連会社WCPのESS(定置用蓄電)向けセパレータは第1四半期に出荷開始が遅れたが、第2四半期から出荷が始まり販売量が増加。イオン交換膜は第1四半期に一部製品が前倒し出荷されたため、第2四半期の販売は数百万円にとどまった
- 売上総利益(損失)ベースのセグメント損益は、セパレータ事業が△1,514百万円(前年同期△2,596百万円)、イオン交換膜事業が+520百万円(同+198百万円)。営業損益は、増収による477百万円の改善に、人件費△63百万円、減価償却費△43百万円、在庫評価損△448百万円などの減少が加わって改善した。一方、販売数量の増加で原材料費が50百万円、水道光熱費が88百万円増加した。販管費は394百万円(前年同期467百万円)
- 【要確認】営業外では持分法による投資損失1,694百万円(前年同期2,402百万円)が経常損失を大きく押し下げた。会社の連結業績は、関連会社WCPの損益に大きく左右される構造で、投資有価証券34,001百万円が総資産49,281百万円の約69%(当社試算)を占める。短信にWCP自体の損益の内訳は記載されていない。営業外収益は助成金収入84百万円、為替差益42百万円、営業外費用は支払利息146百万円
- 【要確認】販売先は2社に集中している。WCPへの販売が1,062百万円(売上比55.1%、前年同期46.8%)、POSCOグループが788百万円(同40.9%、前年同期40.0%)で、この2社で売上の96.0%(当社試算)を占める。売上の過半が関連会社向けである点は、業績の実態を見る際に注意が必要
- 【継続企業の前提に関する重要事象等】継続的な営業損失の計上により、中間期末において継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在する。ただし、手元資金の確保状況、今後の収支見込み、金融機関からの資金調達計画などから、重要な不確実性は認められないと会社は判断しており、注記は「該当事項なし」。会社は、新規顧客向けのハイエンド車載EV・ESS向け電池の量産販売準備、WSK(連結子会社)のイオン交換膜での新規契約見込み、WCPの主要顧客Samsung SDIとの協議で第4四半期以降に需要回復を見込むことを挙げている
- 財政状態は、総資産49,281百万円(前期末比△2,723百万円)、純資産39,317百万円、自己資本比率79.6%(前期末78.5%)。ただし流動資産2,959百万円に対して流動負債は7,760百万円(短期借入金5,925百万円)で、流動比率は約38%(当社試算)と短期の支払能力は薄く、資産の大半は有形固定資産10,731百万円と投資有価証券。営業CFは366百万円の収入(前年同期1,096百万円)、投資CFは貸付金の回収350百万円などで395百万円の収入、財務CFは短期借入金の返済517百万円や短期社債の償還270百万円などで353百万円の支出。現金及び現金同等物は681百万円(前期末271百万円)
- 行使価額修正条項付新株予約権の権利行使(第三者割当)により、資本金・資本剰余金が各220百万円増加(新株予約権行使による収入434百万円)。発行済株式数は58,025,700株から60,625,500株(+4.5%)に増え、株式の希薄化が続いている。無配(来期予想も無配)。決算補足説明資料は「有」だが今回未添付、機関投資家・アナリスト向け説明会は2026年9月11日に開催予定
- 【要確認】通期予想(売上高6,000百万円、営業損失2,400百万円、経常損失4,400百万円、純損失4,400百万円、1株当たり純損失79.73円)は修正なし。中間期の進捗は売上高32.1%で、下期に売上高約4,072百万円(上期の約2.1倍、当社試算)が必要。会社はESS向けの韓国内販売の増加、イオン交換膜の出荷回復と新規案件(半導体関連・排水処理)の一部が下期から出荷開始としているが、中東情勢に伴う原油・ナフサ価格の上昇は主要原料の調達コストに影響しうるとしている
財政状態
総資産
49,281百万円
純資産
39,317百万円
自己資本比率
79.6%
現金及び預金
681百万円
次期業績予想
| 決算期 | 売上高 | 営業損失 | 経常損失 | 親会社株主に帰属する当期純損失 |
|---|---|---|---|---|
| 2027年1月期 通期予想(修正なし) | 6,000百万円(進捗32.1%)+65.2% | △2,400百万円損失縮小見込み(前期の金額は短信に記載なし) | △4,400百万円 | △4,400百万円 |
注目ポイント
売上が3割増え、営業損失は半分弱に縮んだが、事業自体はまだ売上総利益の段階で赤字(993百万円の損失)である。改善の内訳は、増収に加えて人件費・減価償却費などのコスト削減と在庫評価損の減少で、収益の柱に育つはずのESS向けセパレータが本格的に立ち上がるのはこれから、という状況といえる。イオン交換膜事業は売上総利益ベースで黒字(520百万円)を確保している。
損益を左右するのは本体の営業損益よりも、韓国の関連会社WCPの持分法投資損失である。今期も営業外で1,694百万円が計上され、経常損失は営業損失の2倍を超える3,091百万円になった。売上の55%がWCP向け、41%がPOSCOグループ向けという集中も含め、業績はWCPの操業と主要顧客(Samsung SDIなど)の需要動向に強く結びついている。
継続企業の前提に関する重要事象等が存在するが、会社は手元資金や資金調達計画から重要な不確実性はないと判断している。ただし現金は6.8億円、短期借入金は59億円と、短期の資金繰りは金融機関の支援と新株予約権の行使による資金調達に依存する構図で、発行済株式数も増え続けている。通期予想は下期に売上が上期の約2倍必要な計画で、ESS向けの出荷拡大とイオン交換膜の出荷回復が計画通り進むかを、次回以降の決算で確認したい。