決算ノート
6778東証通信機器の測定・評価製品(5G・次世代通信)とテストサービス

2026年7月期 決算サマリー

サマリー

5G・次世代通信向けの測定器と受託テストサービスを手がけるアルチザネットワークスの2026年7月期は、顧客の新規投資減速や国内向け販売の不振で製品販売が減り、売上高が前期比6.8%減の24億99百万円と減収だった。 一方で固定費の削減で販管費が2億21百万円減り、営業利益は同34.0%増の1億55百万円、経常利益は同35.8%増の3億35百万円。前期にあった減損損失31百万円がなく税負担も軽くなり、親会社株主に帰属する当期純利益は同122.8%増の2億96百万円となった。 経常利益の約5割は受取利息及び配当金を中心とする営業外損益によるもの。来期は売上高+14.0%、営業利益+19.0%を予想する一方、経常・純利益は減益予想。

売上高

2,499百万円

△6.8%

営業利益

155百万円

+34.0%

経常利益

335百万円

+35.8%

親会社株主に帰属する当期純利益

296百万円

+122.8%

売上高営業利益率

6.2%

+1.9pt(前期4.3%)

ハイライト

  • 売上高の内訳は、製品販売が1,252百万円(前期比△12.2%)、リソース提供サービス(テストサービス受託・保守サービス等)が1,247百万円(同△0.6%)。製品販売は顧客の新規投資減速の影響や国内向け販売が想定を下回ったことで減少し、サービスは前年並みの受注を確保して微減にとどまった。会社は、5Gは足元で開発投資が減少傾向にある一方、6Gを見据えた研究活動が本格化しつつあると見ている
  • 売上総利益は1,475百万円(前期1,657百万円)で売上総利益率は59.0%(前期61.8%、当社試算)と低下した。販管費は1,319百万円(前期1,541百万円、△14.4%)と221百万円減り、営業利益は155百万円(前期116百万円)に増加。会社は固定費削減による収益性の改善が進んだと説明する。減収での増益であり、費用削減が寄与した増益
  • 【要確認】経常利益335百万円は営業利益155百万円の2倍を超える。営業外収益の受取利息及び配当金が190百万円(前期158百万円)と大きく、営業外損益は差引で約180百万円のプラス(当社試算)。総資産7,965百万円のうち投資有価証券が3,671百万円(約46%)を占めており、運用収益が利益を支える構造だが、短信に運用資産の内訳や運用損益の説明はない。投資事業組合運用損は10百万円、為替差益は11百万円
  • 当期純利益が前期の2.2倍になった要因は、営業・経常利益の増加に加え、前期に計上した減損損失31百万円が当期はなく(当期は関係会社清算益3百万円)、法人税等が42百万円(前期83百万円)に減り、税負担率が約12%(前期約38%、当社試算)に低下したことが大きい。1株当たり当期純利益は33.81円(前期14.83円)、自己資本当期純利益率(ROE)は4.5%(前期2.0%)
  • 財政状態は、総資産7,965百万円(前期末比△434百万円)、純資産6,677百万円、自己資本比率83.8%(前期末78.1%)。短期借入金を1,000百万円から600百万円へ、長期借入金・社債も返済し、有利子負債が減った。現金及び預金は2,245百万円(同△481百万円)、現金及び現金同等物は1,603百万円(前期末2,126百万円)。営業CFは335百万円の収入、投資CFは定期預金の預入・払戻を差し引き51百万円の支出、財務CFは短期借入金の返済400百万円、配当金175百万円、自己株式の取得100百万円などで818百万円の支出
  • 株主還元は、期末配当が1株25円(前期20円)で配当総額215百万円、配当性向73.9%(前期134.9%)。自己株式は期中に146,800株増え、期末は929,270株。来期の配当予想も25円で、配当性向は79.9%を見込む。定時株主総会は2026年10月23日、配当支払開始予定日は10月26日
  • 報告セグメントは、従来の「物販事業」「サービス事業」の2区分から、当期より単一セグメントに変更した。同一の自社開発資産を製品販売だけでなくレンタルや受託サービスなど多角的に運用するビジネスモデルへの移行と経営管理体制の統合が理由で、前期・当期のセグメント情報は記載を省略している
  • 【要確認】2027年7月期の通期予想は、売上高2,850百万円(+14.0%)、営業利益185百万円(+19.0%)、経常利益310百万円(△7.6%)、純利益270百万円(△8.9%)、1株当たり純利益31.28円。営業利益は増える一方、経常利益は減る計画で、営業外収益の減少(営業利益との差は約125百万円、当社試算で当期の約180百万円から縮小)を見込む形だが、短信に理由の記載はない。製品販売ではDuoSIM-5Gの拡販や機能拡張、vRAN基地局・NTN・ローカル5G向け商材、サービスではテストサービスや保守の獲得を掲げる。決算補足説明資料は「有」だが今回未添付

財政状態

総資産

7,965百万円

純資産

6,677百万円

自己資本比率

83.8%

現金及び預金

2,245百万円

次期業績予想

決算期売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属する当期純利益
2027年7月期 通期予想2,850百万円+14.0%185百万円+19.0%310百万円△7.6%270百万円△8.9%

注目ポイント

減収のなかで営業利益を3割増やした決算だが、その増益は売上の回復ではなく費用の削減によるものである。売上は製品販売の不振で7%減り、売上総利益率も約3ポイント下がった一方、販管費を約2億円(14%)削って営業利益を1億55百万円まで戻した。5G向けの開発投資が減速する局面で、収益の量を伸ばす材料は今期の決算からは見えにくい。

利益全体の見え方には注意が必要で、経常利益は営業利益の2倍を超え、その差は主に受取利息及び配当金が占める。総資産の約46%を占める投資有価証券の運用収益が利益を厚くしており、純利益の2.2倍という伸びも、前期の減損がなくなったことと税負担が軽くなったことの影響が大きい。本業の稼ぐ力と運用収益は分けて見たい。

財務は自己資本比率が約84%に上がり、有利子負債を減らしたうえで配当を25円に増やし、自己株式も取得した。来期は売上+14.0%、営業利益+19.0%と本業の回復を見込むが、経常・純利益は減益予想で、営業外収益の減少を織り込んでいる形とみられる。製品販売が計画通り回復するかを次回以降の決算で確認したい。

出典:株式会社アルチザネットワークス「2026年7月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年9月10日開示)

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