2026年7月期 決算サマリー
サマリー
教育・自治体向けのICTシステムやオフィス家具、企業向けシステムを手がける内田洋行(連結)の2026年7月期は、GIGAスクール構想の端末更新需要がピークを迎え、売上高が前期比26.3%増の4,257億29百万円、営業利益が28.4%増の156億31百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が27.1%増の124億86百万円と、前期に続き過去最高を更新した。 公共関連事業の売上高は73.6%増の1,610億円に達した。2027年7月期は特需の収束で売上高4,000億円(△6.0%)、営業利益150億円(△4.0%)と、過去最高だった当期に近い水準を予想する。
売上高
425,729百万円
+26.3%営業利益
15,631百万円
+28.4%経常利益
16,770百万円
+27.8%親会社株主に帰属する当期純利益
12,486百万円
+27.1%公共関連事業の売上高
161,038百万円
+73.6%公共関連事業の営業利益
8,974百万円
+71.2%情報関連事業の営業利益
4,293百万円
△6.5%自己資本比率
45.8%
前期40.3%ハイライト
- 売上高は4,257億29百万円(+26.3%)、営業利益は156億31百万円(+28.4%)、経常利益は167億70百万円(+27.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は124億86百万円(+27.1%)で、いずれも過去最高。売上総利益は592億40百万円(+13.1%)で、売上総利益率は13.9%(前期15.5%)に低下した。販管費は436億09百万円(+8.4%)で、会社は人材の採用と賃金のベースアップ等による処遇改善、職場環境の整備、グループ共通販売管理システムの導入・展開を挙げる。営業利益率は3.7%(前期3.6%)。粗利率が下がった内訳は短信に記載がない
- 公共関連事業は売上高1,610億38百万円(+73.6%)、営業利益89億74百万円(+71.2%)。5年前に一斉導入された1人1台のGIGAスクール端末が更新期を迎え、増強したキッティングセンターと全国の展開力で前回導入時を上回る実績を上げた。校務系と学習系のネットワークを統合する大型案件や、県単位の大規模な校務システム構築、大学の理系学部新設・学科改編、学校の改築・改修の大型案件も獲得した。自治体システムの標準化は当期分を着実に完了したが、翌期以降に延伸する自治体が想定を上回った。営業利益率は5.6%(前期5.6%)と横ばいで、公共の売上の増加額(+682億円)は全社の増収額(+887億円)の約77%、営業利益の増加額(+37億円)は全社の増益額(+35億円)を上回る(当社試算)
- オフィス関連事業は売上高591億72百万円(△0.4%、前期の大型案件の反動)、営業利益21億32百万円(+7.3%、海外市場の回復とオフィス周辺事業の収益性改善)。シェアオフィス・レンタルオフィスのハイグレードな大型案件、東名阪のオフィス移転やレイアウト変更、地方の拠点リニューアル、福祉施設や庁舎の案件を獲得した。情報関連事業は売上高2,044億47百万円(+11.3%)、営業利益42億93百万円(△6.5%)で、営業利益率は2.1%(前期2.5%、当社試算)。社員の位置情報やオフィスの各種データを可視化する大型システム案件、会議室運用支援サービスの契約数の伸長、Windows 10のサポート終了に伴うITサービス需要(第1四半期)、サブスクリプション型ソフトウェアライセンスが増収要因。一方、利益率の高い中小企業向けSI案件は、半導体不足によるサーバ・PCの供給遅延で商談が延伸し、業務システム更新も端境期だった。その他は売上高10億71百万円(△10.2%)、営業利益1億74百万円(△39.9%)
- 営業外収益は13億20百万円(前期11億18百万円)で、受取配当金6億6百万円、受取利息1億72百万円、持分法投資利益1億71百万円。営業外費用は1億81百万円。経常利益は167億70百万円。特別利益は投資有価証券売却益12億79百万円(前期13億53百万円)、特別損失は関係会社株式評価損39百万円。税金等調整前当期純利益は180億09百万円(前期144億79百万円)で、法人税等は54億68百万円(負担率30.4%、前期31.9%、当社試算)。1株当たり当期純利益は253.23円(前期199.45円、2026年1月21日の1株を5株に分割する株式分割後の基準)、ROEは16.0%(前期14.5%)。包括利益は180億52百万円(+121.6%)
- 財政状態は、総資産1,871億76百万円(前期末比+122億59百万円)、純資産859億82百万円(同+151億76百万円)、自己資本比率45.8%(前期末40.3%)。現金及び預金が+85億63百万円(344億36百万円)、退職給付に係る資産が+51億89百万円(121億43百万円)、投資有価証券が+23億12百万円(217億91百万円)、短期貸付金が+12億05百万円に増えた一方、棚卸資産が△23億48百万円、受取手形・売掛金及び契約資産が△18億98百万円。負債は1,011億94百万円(同△29億17百万円)で、仕入債務が△120億23百万円(支払手形・買掛金△88億86百万円、電子記録債務△31億37百万円)、未払金が△30億56百万円、一方で契約負債が+67億84百万円(188億80百万円)、未払消費税等が+19億60百万円、繰延税金負債が+20億38百万円。純資産は、純利益+124億86百万円、配当△29億57百万円、退職給付に係る調整累計額+34億31百万円、その他有価証券評価差額金+16億54百万円
- キャッシュ・フローは、営業活動が130億69百万円の収入(前期5億49百万円)。税引前利益180億09百万円、契約負債の増加+67億83百万円、棚卸資産の減少+24億14百万円、売上債権・契約資産の減少+19億49百万円に対し、仕入債務の減少△120億51百万円、法人税等の支払い△51億19百万円(前期△30億32百万円)。前期は売上債権△145億55百万円、棚卸資産△131億18百万円、仕入債務+183億34百万円と運転資本が膨らんで営業CFが小さかったのに対し、当期は反動が出た。投資活動は13億31百万円の支出で、貸付△12億63百万円、無形固定資産の取得△10億72百万円、有形固定資産の取得△8億88百万円、投資有価証券の売却+17億24百万円。財務活動は34億66百万円の支出(配当△29億57百万円)。現金及び現金同等物は313億64百万円(前期230億71百万円)。貸付の相手先と目的は短信に記載がない(【要確認】)
- 配当は、期末76円(株式分割後の基準。前期は分割前の期末300円で、分割後換算60円、当社試算)で、配当総額37億50百万円、配当性向30.0%(前期30.1%)。2026年6月3日発表の普通配当72円から4円増配した(会社は投資有価証券売却益の計上もあり純利益が大きく増えたことを理由に挙げる)。2027年7月期も76円を予想し、配当性向は35.7%。会社は配当について、水準の維持または引き上げを基本とする累進的な配当としている
- 【要確認】2027年7月期予想は、売上高4,000億円(△6.0%)、営業利益150億円(△4.0%)、経常利益160億円(△4.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益105億円(△15.9%)、1株当たり212.89円。会社は、自治体システム標準化の翌期延伸分は進むが、Windows 10のサポート終了に伴う更新需要は収束し、GIGAスクール構想の端末更新も残りの一部になる一方、民間市場中心にベースラインとなる領域は拡大するとして、過去最高だった当期に近い水準を維持する計画。純利益は前期にあった投資有価証券売却益を見込んでいない。第17次中期経営計画(2025年7月期〜2027年7月期)の当初は3年目に売上高3,400億円、営業利益115億円を見込んでいたが、今回の見通しはこれを大幅に上回る。特需の収束で当期の水準をどこまで維持できるかの根拠(民間市場の増加額など)は短信に記載がない
財政状態
総資産
187,176百万円
純資産
85,982百万円
自己資本比率
45.8%
現金及び現金同等物
31,364百万円
次期業績予想
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2027年7月期 通期予想 | 400,000百万円△6.0% | 15,000百万円△4.0% | 16,000百万円△4.6% | 10,500百万円△15.9% |
注目ポイント
GIGAスクール端末の更新特需で、売上・利益とも前期に続いて過去最高を更新した。増収額(+887億円)の約77%を公共関連事業が占め、その営業利益の増加額(+37億円)は全社の増益額(+35億円)を上回っており、公共以外の事業の利益はほぼ横ばいである。公共の営業利益率は5.6%と前期と変わらず、売上が伸びた分だけ利益が乗る構造だった。一方、売上総利益率は15.5%から13.9%に下がっており、端末調達など粗利率の低い案件の比率が高まった可能性があるが、短信に説明はない。
情報関連事業は増収でも営業利益が△6.5%と減った。中小企業向けのSI案件が半導体不足によるサーバ・PCの供給遅延で延びたためで、次の期に取り戻せるかが民間市場の焦点になる。営業キャッシュ・フローが前期の約24倍(130億円)に増えたのは、契約負債の増加(+68億円)や前期の在庫・売上債権の膨らみの反動で、特需の一時的な運転資本の動きが大きい。
2027年7月期は、特需の収束で売上高4,000億円(△6.0%)、営業利益150億円(△4.0%)と、当期に近い水準を予想する。当初の中期経営計画(売上3,400億円、営業利益115億円)を大きく上回る水準を維持できるかが焦点で、民間市場の伸びや自治体システム標準化の延伸分の寄与は、次の決算で確認したい。配当は年76円(株式分割後)を維持する予想。