決算ノート
9636東証映画館「あべのアポロシネマ」の運営と、ビルの賃貸(きんえいアポロビル等)

2027年1月期 中間期 決算サマリー

サマリー

大阪・あべの地区で映画館「あべのアポロシネマ」を運営し、「きんえいアポロビル」などのビル賃貸も手がけるきんえい(非連結)の2027年1月期中間期は、前年に大ヒットした映画の反動で映画部門が減収となり、ビルの大型テナント退去も響いて、売上高が前年同期比3.8%減の18億5百万円、営業利益が同30.2%減の1億24百万円、中間純利益が同35.6%減の82百万円と減収減益となった。 通期予想は、2026年3月公表の予想から売上高を1億30百万円、営業利益・経常利益を35百万円、当期純利益を30百万円それぞれ増額した。ただし、短信の表紙には「予想の修正 無」とあり、本文と食い違っている。

売上高

1,805百万円

△3.8%

営業利益

124百万円

△30.2%

経常利益

132百万円

△26.7%

中間純利益

82百万円

△35.6%

売上高営業利益率

6.9%

△2.6pt(前年同期9.5%、当社試算)

シネマ・アミューズメント事業のセグメント利益

103百万円

△9.4%(当社試算)

不動産事業のセグメント利益

204百万円

△14.8%(当社試算)

営業活動によるキャッシュ・フロー

95百万円

前年同期230百万円

ハイライト

  • 売上高は1,805百万円(前年同期比△3.8%)、営業総利益は307百万円(同353百万円、△13.0%)、一般管理費は182百万円(同175百万円、+4.4%)で、営業利益は124百万円(同△30.2%)、営業利益率は6.9%(前年同期9.5%)。営業外収益は違約金収入5百万円などで11百万円(同5百万円)、経常利益は132百万円(△26.7%)。特別損失は固定資産除却損12百万円(同8百万円)。法人税等は37百万円(負担率31.1%、前年同期25.6%、当社試算)で、中間純利益は82百万円(△35.6%)、1株当たり中間純利益は29.74円(前年同期46.20円)
  • シネマ・アミューズメント事業は、売上高784百万円(前年同期841百万円、△6.8%、当社試算)、セグメント利益103百万円(同114百万円)。会社は、「名探偵コナン」「トイ・ストーリー5」「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」などを上映し、周辺商業施設との連携イベントや、「スクリーン1」の音響設備リニューアル(新音響システム「A-HIBIKI」)などに取り組んだが、前年度に大ヒットした「国宝」「劇場版『鬼滅の刃』無限城編」の反動減が大きかったと説明。劇場収入は720百万円(同760百万円、△5.2%)、娯楽場及びその他事業収入は64百万円(同82百万円)
  • 不動産事業は、売上高1,022百万円(同1,037百万円、△1.4%、当社試算)、セグメント利益204百万円(同240百万円、△14.8%)。空調設備の整備、監視カメラの増設・更新、「あべのルシアス」の排水・電気室設備の更新などを進め、テナント誘致や賃料改定に努めたが、「きんえいアポロビル」の大型テナントの退去の影響で、駐車場収入などのビル付帯事業を含め減少した。ビル共益費等収入は186百万円(同203百万円、△8.4%)、賃貸収入等の「その他の収益」は822百万円(同821百万円)でほぼ横ばい。下期には同ビルへの大型テナントの入居が予定され、賃貸床と共用部の区画整備を実施した(入居する企業名・賃料は短信に記載がない)
  • 財政状態は、総資産5,848百万円(前期末比△174百万円)、純資産2,820百万円(同+60百万円)、自己資本比率48.2%(前期末45.8%)。総資産の減少は、短期貸付金が699百万円から570百万円(△129百万円)に減ったことが主因(貸付先と条件は短信に記載がない)。現金及び預金は135百万円から87百万円、流動負債の「その他」は711百万円から456百万円(設備関係の未払金の減少など)、資産除去債務(流動)38百万円はゼロになった。借入金(短期借入金・1年内返済予定・長期の合計)は325百万円から295百万円に減少。一方、受入保証金は1,568百万円から1,630百万円(+62百万円)、有形固定資産は減価償却(137百万円)が取得(180百万円)を上回り4,033百万円から3,986百万円に減った
  • 営業キャッシュ・フローは95百万円(前年同期230百万円)で、税引前中間純利益120百万円と減価償却費137百万円に対し、その他の流動負債の減少54百万円、未払金の減少85百万円などが響いた。投資キャッシュ・フローは有形固定資産の取得180百万円、資産除去債務の履行40百万円などを、短期貸付金の回収129百万円と受入保証金の増加52百万円が一部補い△86百万円。財務キャッシュ・フローは配当金28百万円、短期借入金の返済25百万円などで△58百万円(前年同期は長期借入金の返済246百万円などで△167百万円)。現金及び現金同等物は87百万円(前期末△48百万円)
  • 【要確認】通期予想(売上高3,770百万円△0.0%、営業利益265百万円△12.1%、経常利益275百万円△11.7%、純利益180百万円△10.1%、1株当たり64.57円)について、本文は2026年3月17日公表の予想から売上高を130百万円、営業利益・経常利益を35百万円、当期純利益を30百万円増額したとしているが、表紙の「業績予想の修正の有無」は「無」と記載されており、両者が食い違っている(本記事は本文の記載に従った)。中間期の進捗は売上高47.9%、営業利益47.0%、純利益46.1%で、下期は営業利益約140百万円(上期の約113%)と、上期を上回る計画(当社試算)。下期に入居予定の大型テナントの貢献が見込まれるが、金額の説明は短信にない。配当は中間0円・期末10円の年10円予想(前期実績も10円)で、修正なし。決算補足説明資料・決算説明会はいずれも「無」。中間期の短信は監査法人のレビュー対象外

財政状態

総資産

5,848百万円

純資産

2,820百万円

自己資本比率

48.2%

現金及び預金

87百万円

次期業績予想

決算期売上高営業利益経常利益当期純利益
2027年1月期 通期予想(3月公表から増額とされるが表紙は「修正無」)3,770百万円(進捗47.9%)△0.0%265百万円(進捗47.0%)△12.1%275百万円△11.7%180百万円(進捗46.1%)△10.1%

注目ポイント

映画館とビル賃貸という二本柱がそろって減益となった中間期である。映画部門は、前年に「国宝」「鬼滅の刃」といった大ヒット作品があった反動で収入が減り、不動産部門も大型テナントの退去で利益が約15%減った。一般管理費は増えており、営業利益率は9.5%から6.9%に下がった。

一方、財務は自己資本比率が45.8%から48.2%へ改善し、借入金も減っている。ただし現金及び預金は87百万円と薄く、資産の約1割を占める短期貸付金(570百万円)の貸付先が短信に示されていない点は、確認したいところである。

通期予想は3月時点から増額されたと本文にあるが、表紙は「修正無」と書かれており、短信の内部で食い違っている。増額後の予想でも営業利益は前期比△12.1%で、下期は上期を約13%上回る必要がある。下期に入居予定の大型テナントの貢献と、映画の興行動向が、その達成を左右する。

出典:株式会社きんえい「2027年1月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(非連結)」(2026年9月8日開示)

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