2026年7月期 決算サマリー
サマリー
電力の需要家と発電事業者を結ぶ取引プラットフォーム「デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)」を運営するデジタルグリッドの2026年7月期は、 売上高が前期比15.6%増の71億13百万円、営業利益が同10.0%増の30億17百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.0%増の20億37百万円と増収増益。 再エネPF事業と蓄電池関連が伸びた。一方で、売上のうち約24%は一般送配電事業者との電力精算による損益で、主力のDGP手数料収益は前期比5.8%減。 蓄電池への設備投資と電力取引の資金負担で、総資産は約1.7倍の308億円に膨らみ、短期借入金が76億円増えた。来期は営業利益が同5.0%減の28億65百万円の予想。
売上高
7,113百万円
+15.6%営業利益
3,017百万円
+10.0%経常利益
2,909百万円
+11.3%親会社株主に帰属する当期純利益
2,037百万円
+9.0%売上高営業利益率
42.4%
△2.2pt(前期44.6%)ハイライト
- セグメント別(内部取引を含む「計」ベース)は、電力PF事業(再エネ以外の電源の取引)が売上高5,884百万円(前期比+8.6%)・利益3,500百万円(同△0.9%)、再エネPF事業が売上高711百万円(同+58.5%)・利益370百万円(同+207.4%)、その他(調整力=蓄電池事業)が売上高518百万円(同+82.3%)・利益136百万円(前期は246百万円の損失)。電力PFの契約容量は871MW、再エネPFは393MWに拡大
- 【要確認】売上の内訳を見ると、主力の「DGP手数料収益」は4,514百万円(前期4,792百万円、△5.8%)と減少した。増収は、「顧客との契約以外の源泉から生じた収益」(主に一般送配電事業者との電力精算による損益)が1,704百万円(前期788百万円)へ倍増したことによる。この項目は売上高の約24%を占め、精算の結果に左右されるため、安定的な収益とは性格が異なる
- 売上総利益は5,794百万円(前期4,580百万円)で売上総利益率は81.4%(前期74.4%)に上昇。一方で販管費は2,776百万円(前期1,838百万円、+51.0%)と急増し、営業利益率は42.4%(前期44.6%)に低下。営業外では容量拠出金精算益133百万円を計上する一方、支払手数料が188百万円(前期15百万円)に増え、経常利益は営業利益より108百万円低い2,909百万円
- 再エネPF事業では、コーポレートPPAマッチングプラットフォーム「RE Bridge」の登録発電事業者が150社を突破、登録設備容量が2GW超。FIT非化石証書の代理調達サービス「エコのはし」の仲介取扱量は累計32億kWhを超えた。2026年7月から法人向けの低圧電力サービスも開始。系統用蓄電池のアグリゲーション(調整力)事業では取扱量が計165MW、自社保有向けの投資意思決定済み案件が32MW
- 【要確認】バランスシートが急拡大。総資産は30,817百万円(前期末17,817百万円)、短期借入金は7,850百万円(同260百万円、+7,590百万円)、未収入金は15,154百万円(同+5,388百万円)、未払金は7,290百万円(同+1,889百万円)。有形固定資産は4,455百万円(同107百万円)に増え、建設仮勘定4,023百万円(蓄電池関連とみられるが、短信に用途の記載なし)を計上。自己資本比率は34.1%(同46.5%)に低下
- 営業CFは1,849百万円の支出(前期は321百万円の収入)で、未収入金の増加5,388百万円などが主因。投資CFは有形固定資産の取得4,341百万円で4,397百万円の支出、財務CFは短期借入金の純増7,590百万円などで7,894百万円の収入となり、現金及び現金同等物は6,295百万円(前期末比+1,648百万円)。利益は黒字でも、電力取引の資金負担と設備投資を借入で賄う構図
- 【重要な後発事象】2026年7月2日に、連結子会社デジタルグリッドアセットマネジメントがJA三井リースと元本2,000百万円の金銭消費貸借契約を締結(弁済期限2028年6月末、担保あり)。財務上の特約として、デジタルグリッドの2027年7月期連結EBITDAをプラスに維持することが付されている
- 【来期予想】2027年7月期は売上高7,967百万円(+12.0%)、調整後EBITDA 3,185百万円(+4.5%)、営業利益2,865百万円(△5.0%)、経常利益2,394百万円(△17.7%)、純利益1,673百万円(△17.9%)。中期経営目標(2029年7月期)はROE20%以上、営業利益率30%以上、調整後EBITDAマージン40%以上、総契約容量の年平均成長率30%以上。蓄電池100億円の投資は2028年7月期までに達成予定。配当は無配
財政状態
総資産
30,817百万円
純資産
10,536百万円
自己資本比率
34.1%
現金及び現金同等物
6,295百万円
次期業績予想
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2027年7月期 通期予想 | 7,967百万円+12.0% | 2,865百万円△5.0% | 2,394百万円△17.7% | 1,673百万円△17.9% |
注目ポイント
営業利益率40%超という高収益を維持した増収増益だが、収益の中身には注意が必要である。プラットフォームの手数料収益(DGP手数料収益)は前期比で減っており、増収の主因は電力精算による損益の増加である。この項目は精算の結果に左右されるため、売上の「質」は前期と変わっている。会社は来期の営業利益を5%の減益と見込んでおり、この構造を織り込んだ計画とみられる。
もう一つの焦点は財務の拡大である。総資産が約1.7倍に膨らみ、短期借入金は約76億円増加、蓄電池への設備投資も始まった。会社は蓄電池投資100億円を2028年7月期までに達成する方針で、今後も資金需要が続く。自己資本比率は約12ポイント低下しており、7月に締結した20億円の借入には、来期のEBITDAをプラスに保つ財務上の特約が付いている点も含め、資金繰りと借入条件の動向を継続して確認したい。
成長面では、再エネPF事業の伸び(売上+58.5%、利益+207.4%)と、系統用蓄電池のアグリゲーション事業の黒字化が新たな柱として育っている。ただし、来期は経常・純利益が2割近く減る計画で、投資の先行負担が利益を圧迫する局面に入る。