2026年10月期 第3四半期 決算サマリー
サマリー
自動車用コントロールケーブルなどを手がけるハイレックスコーポレーション(連結)の2026年10月期第3四半期累計(2025年11月〜2026年7月)は、三井金属アクトを完全子会社化(株式会社ハイレックスアクトへ社名変更、期首から連結)した影響で売上高が前年同期比40.8%増の3,205億56百万円、営業利益が23.1%増の38億82百万円となった。 親会社株主に帰属する四半期純利益は、負ののれん発生益283億08百万円と投資有価証券売却益139億31百万円を特別利益に計上し、408億42百万円(前年同期34億01百万円)に急増した。一方で、米国子会社HI-LEX AMERICAの清算を決議し、10〜20億円程度の特別損失を見込む。通期予想は据え置き。
売上高
320,556百万円
+40.8%営業利益
3,882百万円
+23.1%経常利益
8,032百万円
+36.9%親会社株主に帰属する四半期純利益
40,842百万円
前年同期3,401百万円負ののれん発生益(特別利益)
28,308百万円
統合前事業の売上高(アクト連結の影響を除く)
約2,422億円
+6.4%(約+145億円)日本のセグメント損益赤字
△485百万円
前年同期は763百万円の利益自己資本比率
59.5%
前期末63.2%ハイライト
- 売上高は3,205億56百万円(+40.8%、+928億76百万円)、営業利益は38億82百万円(+23.1%、+7億29百万円)。三井金属アクト(2025年11月に株式会社ハイレックスアクトへ社名変更)と同社子会社の計10社を期首から連結に含めた影響が、売上高で約784億円、営業利益で約6億50百万円。アクトを除く統合前事業は、売上高が+約145億円(+6.4%、約2,422億円、当社試算)、営業利益が+約80百万円(+2.5%、約32億円、当社試算)で、統合前事業の営業利益の伸びは小さい。売上総利益は389億28百万円(+51.0%)で、売上総利益率は12.1%(前年同期11.3%)、販管費は350億45百万円(+54.9%)に増え、営業利益率は1.2%(同1.4%)と低い
- 統合前事業の営業利益は、中国、メキシコ、韓国で減益となった一方、米国、欧州、日本で収益が改善した(会社説明)。売上面では、韓国の失注等の影響があったが、米国の主要顧客の販売回復と円安に伴う邦貨換算額の増加が支えた。地域別セグメント(韓国は新区分)は、外部顧客への売上高が日本599億78百万円(+49.3%)、米州1,202億05百万円(+53.1%)、中国518億45百万円(+47.1%)、韓国315億30百万円(△11.3%)、アジア277億22百万円(+48.6%)、欧州・アフリカ292億74百万円(+50.2%)。セグメント損益は、日本△4億85百万円(前年同期7億63百万円の利益)、米州9億83百万円(同5億26百万円)、中国15億68百万円(同5億81百万円)、韓国21億29百万円(同25億52百万円)、アジア10億27百万円(同85百万円)、欧州・アフリカ5億64百万円(同96百万円)。日本のみ赤字で、アクト連結後も日本の収益性は課題(要因は短信に記載がない)
- 経常利益は80億32百万円(+36.9%)。営業外収益は52億45百万円で、受取配当金16億08百万円、受取利息5億99百万円、為替差益11億11百万円、持分法投資利益3億49百万円。営業外費用は10億94百万円で、支払利息が6億48百万円(前年同期2億84百万円、約2.3倍)。営業利益(38億82百万円)に対し経常利益が2倍超となり、営業外収益の寄与が大きい。特別利益は436億89百万円で、内訳は負ののれん発生益283億08百万円、投資有価証券売却益139億31百万円、持分変動利益6億81百万円、製品保証引当金戻入額5億07百万円、固定資産売却益1億68百万円など。特別損失は8億09百万円(固定資産除却損2億65百万円、貸倒引当金繰入額1億82百万円、退職特別加算金1億32百万円、減損損失1億11百万円など)
- 税金等調整前四半期純利益は509億12百万円(前年同期60億96百万円)で、法人税等は90億95百万円(負担率17.9%、前年同期29.6%、当社試算)、四半期純利益は418億17百万円、非支配株主に帰属する四半期純利益は9億74百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は408億42百万円(前年同期34億01百万円)。1株当たり四半期純利益は1,105.08円(同90.67円)、四半期包括利益は477億37百万円(+613.2%)。特別利益(436億円)は税引前利益(509億円)の約86%を占め(当社試算)、負ののれん発生益や投資有価証券売却益は一過性の性質。本業(営業利益)は38億円にとどまる
- 負ののれん発生益は、2025年11月4日に三井金属アクト株式会社(自動車用機能部品の開発・製造・販売、資本金30億円)の全株式を現金131億04百万円で取得した際に、取得原価が企業結合時の時価純資産を下回ったため計上した。受け入れた資産は883億35百万円(流動資産593億76百万円、固定資産289億58百万円)、負債は441億39百万円(流動負債380億29百万円、固定負債61億10百万円)で、差引の純資産約442億円に対し取得原価が約131億円(当社試算)。取得関連費用(アドバイザリー費用等)は4億17百万円。負ののれん発生益は取得原価の配分が完了していない暫定金額で、確定後に変わる可能性がある(【要確認】)。取得の目的は、ドアラッチ、パワースライドドアなどを持つアクト社の技術・ブランドと当社のドアクロージャー製品を融合し、CASE・SDVに対応する電子制御の開発などのシナジーを得ること
- 財政状態は、総資産3,634億95百万円(前期末比+864億98百万円)、純資産2,361億17百万円(同+444億24百万円)、自己資本比率59.5%(前期末63.2%)。現金及び預金が+161億80百万円(738億46百万円)、受取手形及び売掛金が+205億53百万円(683億54百万円)、原材料及び貯蔵品が+125億44百万円(325億31百万円)、有形固定資産が+263億84百万円(886億04百万円)に増え、投資有価証券が△114億23百万円(323億00百万円、売却等)。負債は1,273億77百万円(同+420億73百万円)で、短期借入金が+148億03百万円(222億95百万円)、支払手形及び買掛金が+96億26百万円(483億15百万円)、退職給付に係る負債が+47億54百万円(71億04百万円)。借入金は合計約235億円(前期末約89億円、当社試算)で、現金及び預金が約503億円上回る(同)。純資産は、利益剰余金が+380億14百万円、為替換算調整勘定が+114億54百万円、その他有価証券評価差額金が△75億82百万円。減価償却費は104億円(前年同期70億円)、のれん償却額は1億78百万円
- 配当は、中間53.50円(普通配当26.50円+記念配当27.00円)、期末予想26.50円の年80.00円(前期46.00円)で、直近公表の予想から修正なし。自己株式は138万株(取得により前期末比+約13万株、自己株式の金額△29億82百万円)
- 【要確認】通期予想は2026年3月6日公表から変更なし(売上高401,000百万円+31.9%、営業利益5,400百万円+59.2%、経常利益7,400百万円+1.8%、親会社株主に帰属する当期純利益36,850百万円+337.7%、1株当たり996.89円)。第3四半期累計の進捗は売上高79.9%、営業利益71.9%、経常利益108.5%、純利益110.8%で、経常利益と純利益はすでに通期予想を上回り、通期予想どおりなら第4四半期は経常損失約6億円、純損失約40億円になる計算(当社試算)。営業利益は残り約15億円が必要で、前期の第4四半期(予想の増減率から逆算して約2億円、当社試算)を大きく上回る。会社は2026年7月10日の取締役会で、米国の孫会社HI-LEX AMERICA INC.(コントロールケーブルの製造・販売)を清算することを決議し、需要減退で業績回復が困難と判断した。2026年10月期中に10〜20億円程度の特別損失を見込むが、金額は精査中で確定次第公表する(通期予想への織り込みの有無は短信に記載がない)。解散・清算の手続きは生産体制の再編後、2028年度の開始を見込む
財政状態
総資産
363,495百万円
純資産
236,117百万円
自己資本比率
59.5%
現金及び預金
73,846百万円
次期業績予想
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年10月期 通期予想(変更なし) | 401,000百万円(進捗79.9%)+31.9% | 5,400百万円(進捗71.9%)+59.2% | 7,400百万円(進捗108.5%)+1.8% | 36,850百万円(進捗110.8%)+337.7% |
注目ポイント
純利益が408億円と前年の12倍になったが、その大半は一過性の特別利益で、本業の利益(営業利益38億円)はそれほど伸びていない。特別利益436億円のうち、三井金属アクトの買収に伴う負ののれん発生益が283億円、投資有価証券売却益が139億円を占める。負ののれん発生益は、買収価格(約131億円)が受け入れた純資産(約442億円)を下回ったために生じた会計上の利益で、現金の流入ではなく、金額も暫定である。
アクトを期首から連結した効果は売上高で約784億円、営業利益で約6億50百万円で、アクトを除く統合前事業の営業利益は約80百万円(+2.5%)しか増えていない。営業利益率は1.2%と低く、日本セグメントは4億85百万円の赤字である。アクトの統合で規模は約1.4倍になったが、収益性の改善はこれからの課題といえる。
通期予想は据え置かれたが、第3四半期累計の経常利益・純利益はすでに通期予想を上回っており、第4四半期は損失が必要な計算になる。会社は米国子会社HI-LEX AMERICAの清算で10〜20億円程度の特別損失を見込むとしているが、予想への織り込みは短信に書かれていない。第4四半期の営業利益は約15億円が必要で、前期の第4四半期を大きく上回る。予想の修正の有無とあわせて、通期決算で確認したい。